リンクリゾルバとは

 リンクリゾルバ(Link Resolver)とは、利用者にとって最適な情報資源への入手方法、経路を示してくれる仕組みのことである。

 情報資源の探索、といえば以前なら図書館の現物資料にあたる必要があった。しかし、いまは多様な方法で情報資源へアクセスすることができる。図書館所蔵資料に、ILLサービス、電子ジャーナルの購読、機関リポジトリやプレプリントサーバの台頭etc。アクセス可能な情報資源が増えたことで便利になった反面、どれにアクセスしたらよいかがわからなくなった。分かりやすい例として,ILLを申し込んだのに、実は電子ジャーナルを契約していた、著者の所属する機関リポジトリで公開されていたなどといったことがあるだろう(適切コピー問題:Appropriate Copy Problems)。このような問題を解決することを目標として、Herbert Van de Sompelによってリンクリゾルバというモデルが提案され、S・F・Xというリンクリゾルバのシステムが開発された。

 たとえば、ある情報資源を探すとしよう。図書館の多くが提供しているOPACを用いて所蔵資料の検索を行い所蔵確認する方法がある。情報資源の所蔵を確認したのち、所蔵していれば図書館へいき情報資源へアクセスする。なければILLを依頼するといった流れで情報資源を入手することができる(『OPAC Link』モデル)。また、学術ベンダーが提供している電子ジャーナルサービスなら、所蔵確認(もしくは利用確認)したのちフルテキストへのリンクが貼られ、利用者は即座に情報資源にアクセスすることできる(『Fulltext Link』モデル)。リンクリゾルバで提案されているResolverモデルだと、検索結果から情報資源へのパスを示してくれる。上の例だと図書館に所蔵、しているのかもしくは契約している電子ジャーナルを使うことができるのか、それともILLを通じて入手可能なのかを示してくれる。(『Resolver』モデル)

 文献情報データベースなどからもリンク解決が行われる。

デメリット

 リンクリゾルバにより直接1次情報にアクセスできることは、研究者にとっては慣れきった情報検索という作業をせずに時間短縮してくれ便利である。しかし、情報検索の技術を学ぶ必要のある初学者にとってメディアリテラシーの低下を招くのではないかという見方もある。また、利用者としての視点でリンクリゾルバの利用感として信用できない、という感覚が残るという意見も。すごく便利ではあると感じるが、たとえば目隠しをして物を探しているような感覚に似ていて不安をおぼえる。

 当然、安いものではないので必要性との兼ね合いで導入する必要あるだろう。

必要性

 ある大学でのあるベンダー提供のリンクリゾルバ+統合情報検索システムの見積もりは年間200万強という数字だった。それぞれの懐具合にもよるが、コストはやや高くつく。利用者コミュニティの規模,扱っている電子ジャーナル等の数など費用対効果を考えると、あえて必要ないという図書館もあるだろう。

 たとえば、リンクリゾルバの機能はいまはいらないが、早急に電子ジャーナルリストの機能だけ欲しいとき、リンクリゾルバの比較をせずに、電子ジャーナルリストの比較だけで導入の判断をするのは危険。なぜなら、リンクリゾルバや統合検索システムを導入した際に、電子ジャーナルリストはオプション的な存在になる。従って、電子ジャーナルリスト単体での導入においても、リンクリゾルバの機能を比較した上で導入した方が将来性がある。

 現在使っている電子ジャーナルマネジメントツールがある場合、それに上乗せした形での導入か、他のジャーナルリスト+リンクリゾルバにするか、よく考える必要がある。ジャーナルリストとリンクリゾルバがそれぞれ別の提供元になると管理が大変になる(そういう状況の大学図書館もあるらしい)。基本的におなじものを使うべき。

 導入事例については、下記文献に詳しい。3ヶ月で導入を決めた、製品の比較例など導入経緯を中心に書かれている。

  • 吉新 裕昭. “獨協医科大学図書館におけるリンクリゾルバの計画から導入まで”. 医学図書館. Vol.54, No.2, (2007), 132-137

種類

 自分たちでサーバを立てて提供するタイプと提供会社のサーバを間借りするタイプ(ASP)での提供と2種類ある。サーバ管理などわずらわしい作業が嫌なら、ASPサービスによる利用がおすすめ。

 オープンソースのものもある。UKOLNOpenResolverは接続できないため、論文へのリンク。公開終了?(08/08/23時点)

体感してみる

 各大学図書館の外部利用という形で利用することができる。たとえば、筑波大学のTulipsを利用してみよう。トップページの「蔵書検索」窓から検索する。検索結果がリスト化されるのでどれかをクリックすると、詳細な書誌情報の画面が表示される。下の方に「この資料への関連情報」として「Tulips Linker(SFXへのリンク)」が表示される。これをクリックすると、リンクリゾルバの中間窓なるものが新しいウィンドウとして生成される。この中間窓からは、フルテキスト(1次情報)へのリンクの有無、またそれ以外にも筑波大学やNDLのOPACやAmazonでの検索、ILLの申し込み、Refworksへの書誌事項インポートを選択することができる。フルテキストが存在し利用できる場合は、そちらを利用することができる(ただし蔵書検索の場合、図書、雑誌、紀要等が検索結果となるので、フルテキストへのリンクが生成されることはほぼないだろう)。できない場合、他の図書館での所蔵を調べたり、ILLへの申し込み、論文管理システムへの登録などをすることができる。この中間窓からの外部へのアクセス可能性を味わうだけでも書誌事項情報の表示と所蔵情報で終了する通常のOPAC検索とは違うことがよくわかるだろう。

 SCOPUSやらWeb of Scienceなど有料サービスではリンクリゾルバの恩恵に預かることはできないがGoogle scholarなどでもは、多少体感することができる。Scholar設定の画面で図書館リンクという項目がある。とりあえず「USACO」と入力し「図書館を探す」をクリックすると、「USACO - Full Text @ ユサコ」というラジオボタンが出現する(はず)なので、それを選択し、画面一番右下の「保存」をクリックする。保存するとGoogle Scholarのトップページにもどるので、何かキーワードをいれて検索してみよう。検索結果のところに「Find It @ ユサコ」という表示があらわれたレコードがある(はず、少し探してみましょう)。それをクリックすると、さきほどの筑波大学のTulipsの例と同じようにSFXの中間窓が生成されるはずです。

 なお、S・F・Xの具体的な操作方法はTulips Tutolialに詳しい。

議論のタネ

  • リンクリゾルバを使うことによって学生のメディアリテラシーが低下?
  • ILLを担当していたことがあるが、実感として5分の1位の依頼は学内やウェブから入手できる文献だったりした。ILLにたどり着く前の手順を知ってもらう必要性を強く感じる。

関連文献集

雑誌等

  • 細羽見 喬. “リンクリゾルバ”. 専門図書館. No.234, (2009), 46-49.
  • 坂口 泉. “電子ジャーナルサービスでのリンクリゾルバの有効利用について”. 薬学図書館. Vol.53, No.2, (2008), 130-132.
  • 吉新 裕昭. “獨協医科大学図書館におけるリンクリゾルバの計画から導入まで”. 医学図書館. Vol.54, No.2, (2007), 132-137
  • 橋本 剛. “プロダクト・レビュー Ingenta Connect DDSとサービスを取り巻く環境”. 薬学図書館. Vol.51, No.2, (2006), 167-170.
  • 片岡 真. “リンクリゾルバに見るWeb時代の図書館サービス:きゅうとLinQの評価と展望”. 薬学図書館. Vol.51, No.4, (2006), 299-306.
  • 衣笠 美穂. “電子ジャーナルアクセス管理総合サービス「Serials Solutions(シリアルズソリューションズ)」”. オンライン検索. Vol.26, No.3, (2005), 77〜86.
  • 岡野 真一郎. “EBSCO A-to-Zのご紹介”. オンライン検索. Vol.26, No.3, (2005), 87〜95.
  • 細井 宏朗. “スエッツワイズ・リンカー (特集 電子ジャーナル管理ツール)”. オンライン検索. Vol.26, No.3, (2005), 96〜105.
  • 増田 豊. “S・F・Xの現状 (特集 電子ジャーナル管理ツール)”. オンライン検索. Vol.26, No.3, (2005), 106〜117.
  • 片岡 真. “EJ等のリンク機能の応用事例 リンク・リゾルバーの効き目”. 大学の図書館. Vol.24, No.8, (2005), 161-164.
  • 今野 穂. “電子コンテンツ管理における札幌医科大学付属図書館の取り組み :MetaLib?/SFX導入経験を中心に”. 医学図書館. Vol.51, No.3, (2004), 254-260.
  • 設楽 真理子. “第5回図書館総合展 次世代リンクシステム Ovid Link Solver”. 薬学図書館. Vol.49, No.2, (2004), 110-119.
  • 長谷川 大輔. “電子ジャーナル管理システムE-J Solution”.薬学図書館. Vol.49, No.2, (2004), 153-156.

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Last-modified: 2017-12-29 (金) 12:15:41 (268d)